ミニコミをつくる目的はさまざまです。個人の考えをまとめて友人・知人に向けて発行するものもあれば、ボランティア団体などが活動の記録として残すもの、文章サークルの同人誌、市民運動団体の会報、趣味の集まりで意見交換をする媒体、タウン誌、家族新聞、絵手紙……と、表現方法も、規模も、読者との関係もそれぞれです。
それらの共通点を力づくであげるとすれば、〈コミュニケーション〉と〈情報・体験・思想の共有〉という、二つの面があると考えます。
コミュニケーションというのは、発行者個人と読者、あるいはサークルなどの集団の構成者どうしのつながりを深める手段ということです。「私はこういうことを考えている」「あの人の考えはこうなんだ」と互いに知ることによって、お互いの関係は親密になる。そこから新しい関係も生まれてきます。日頃は疎遠な人とも年賀状のやりとりをしているのは、コミュニケーションを絶やしたくないからでしょう。その発展形として、ミニコミという形態があると考えるのです。
〈情報・体験・思想の共有〉というのは、一つは市民運動などが活動報告、今後の予定を会員に知らせるケースで、いわゆる会報です。もう一つは、活動した内容をより広く、より多くの人に知らせるために、印刷物にして普及するというケースです。ボランティア団体でいえば、日常の活動を構成員に知らせるもの(いわゆる会報)と、その団体が行った活動の記録をまとめて出版したもの、という違いになります。阪神・淡路大震災の後には、現地でボランティア活動を行った多くの団体が、現場の活動やその後の報告を冊子にまとめました。これなどは、これも、現場の体験を現場にいなかった人に伝え、共有するという意味で、後者の意味でのミニコミになると思います。 |