コロタイジャーの世界観やストーリーは、公衆衛生学、発達心理学や臨床心理学などのエビデンスに基づいて作成されています。新型コロナウイルスを悪役コロナーとみなして、問題を「外在化」させ、人と人がもめるのではなく、人はコロナーに対して一緒に戦う仲間として設定しています。

ストーリーでは、例えば思いやりピンクは、社会的視点取得理論に基づいて対応策を考えています。幼児期の年長さんごろになると、自分と異なる存在である他人の気持ちを想像できるようになります。小学1年生になれば、笑っていると嬉しいんだな、泣いていると悲しんだな、と気持ちを想像することができます。小学校3年生くらいになれば、悲しいけど、自分を心配させないために「大丈夫」って笑おうとしているんだと言ったことに気が付き始めます。高学年になれば、悲しいだけじゃなくて悔しい、怒りが混ざっていることも想像できたり、会ったことのない人についても、状況がわかれば気持ちを想像できるようになるのです。すなわち、多くの人の視点や立場に立って、考えることができるようになります(社会的視点取得理論)。

こうして、成長とともに、思いやりが発達していくのですが、コロナーのように恐ろしい存在が現れると、人の気持ちは弱くなり、自分のことで精一杯になってしまいます。他の人の気持ちをいたわる力が弱まります。また周囲と同調して、自分の気持ちを勇気を出して言うことも憚るようなことが起きてしまいます。自分の複雑な気持ちをきちんと自分で受け止めて適切な表現で感情を伝えることや、ネガティブな気持ちの高まりを調節することが難しくなったりします。そのため、相手の気持ちを想像できず、傷つけたりします。そのため、感情のリテラシーを育てることが必要です。

また伝え方としては、ソーシャルスキル・トレーニングの方法で、子どもの心を育てることを意図しています。子どもたちに何が大切かを伝え(インストラクション)、良い例や悪い例をイメージさせ(モデリング)、子どもたちに考えさせてみる(リハーサル)、そして、正しいことをさらに伝え(フィードバック)、他の場面に応用できるよう(チャレンジ)促しています。そしてそのチャレンジを褒められたりすることで生活の中で活用していくようになります。そのため、今回、子どもたちが家庭や学校などでコロタイジャーが伝えたスキルを実践したら、「コロタイジャーTwitter」に共有できるようになっています(ぜひそちらもご活用ください)。

様々なエビデンスに基づいて作られたこのコンテンツを通して、子どもたちが楽しく学べるだけでなく、自分たちはウイルスにただ怯えるのではなく、こうした状況に立ち向かえる存在であるという主体感を持ち、様々なスキルを生活の中で使っていける、そんなお役に立てたらうれしく思います。