イルカ好きのためのサークル イルカネットの会報より抜粋
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久米島。そして沖縄海洋研究所(OMRC)。


1998年4月春早々、海へむかう。そんな贅沢なひとときを過ごしてきた人達がいる!イルカネットのメンバーのM.Oさんが沖縄の久米島に海を堪能してきました。まだ人影のほとんどない春の久米島。そして沖縄海洋研究所での貴重なお話。魅力的な「旅」報告です。写真・文 M.O。

●一足早いこんがり夏顔。

青い空、白い砂、緑の海に囲まれた船の上でさわやかな風と日光を浴びる。柔らかな太陽の光に浮き出る別世界の海の底は、音静かに僕らを待っている。それこそ、小さな魚達が色鮮やかに、おかなしな顔をして舞っている。
そうここは、沖縄県那覇市から西約100Kmにある久米島の珊瑚礁の海上。年度も変わるこの時期に、イルカネットスタッフとその友人達7名で沖縄にやってきた。
寒いことを予想していただけに、過ごしやすい気候にみんな満足。
一足早い夏に、全員が開放的な気分で、おもいっきり背伸びをしている。気がつくと白い歯と目が、浮き出る程に日焼けしている。

●くじらよさらば!

ちょっと、期待したホエールウォッチングには、時期が遅かった。慶良間と久米との暖かい海に、繁殖のため北から回遊してくるザトウクジラは12月末頃から見られる。最初の頃は1頭の雌に何頭もの雄が付いてきて、雄の戦いが見られ、2月頃になると入江で泳ぎを教えている母と子供が見られるそうだ。
会えない変わりに大きさは違うけれど雄々としたマンタと一緒に泳ぐことができた。
久米島の魅力を堪能
バイクを走らせやってきた亀の甲羅のような畳石と白い砂浜を前にして、ゆっくりと久米島の山側へ日が沈む。カノンの曲が頭の中を流れる中、前方では、夕日を写真に撮るため走り回る
少年。そして、それぞれがもの想いにふける。ホテルの泡盛カクテルを飲んだり、エスティバンスタッフによる魚のスライドショーを見たり、島の漁師さんの話を聞いたりしながら毎日楽しく夜が更けていった。

●沖縄海洋研究所でイルカとこんにちは。

久米島からの帰りに沖縄本島のルネッサンスリゾートオキナワ内にある沖縄海洋研究(OMRC)に寄ってきた。7頭のハンドウイルカ達が広々としたラグーンで自由に過ごしている。ここの特徴は、人とイルカのコミュニケーションを基本とした教育的なプログラムが組まれていること。ちょうどやっていた子供向けのプログラムでは、スタッフの体の動きを実際に参加者がやってみることで、イルカ達がそれに応えてくれるのだ。ただ見ているのではなく、イルカとふれあうことによる双方向のコミュニケーションが行われている。

●なるほど…イルカのおはなし

OMRCスタッフの方に話を聞いてみた。「OMRCは民間の研究所。イルカセラピーはやっていない。アトピー患者への海洋治療の一環で大学の先生への協力はしている。目的は塩水である海につかることだが、子供が痛がるのを和らげる意味で、イルカと一緒に海に入る。実際にイルカと遊ぶ為に子供達は我慢して海に入たりする。自閉症の子供にも効くと言われているようだが、学術的には根拠もなくまゆつばものであり、それを目的とされている方にはお断りしている。むしろ、実際のイルカとコミュニケーションを目的にふれあう機会を作っている。簡単な会話は、体の動作であり、こちらが指示した動作を見て考えてから行動する。期待した行動をした場合は思いっきりほめてあげる。えさを与えなくても、ほめることで覚えてくれる。そういう意味では、イルカは眼でよく見て行動している。」しかし、イルカも人を選んだり、気分がよくないときもたまにあるそうだ。ところで、ホテル内にはイルカグッズの店があるので、好きものには一見の価値あり。

●旅の終わりで思うこと

長いようであっという間の旅だったけれど、自然の中で魚達の自由さを奪わずに楽しむ珊瑚礁の海や、イルカ達にできる限り自由な環境を作ってあげる海洋研究所を通して、人間にも休息できる自由な時間が大切なんだと改めて感じた。そしてまた、美しい自然とその環境を大切にしていこうとしている人たちの優しさも伝わってくる旅だった。Tちゃんいろいろ案内ありがとう!



これらの記事は1997年〜1998年に発行されたイルカネット会報誌の
記事を編纂したものです。電話番号や住所、水族館の営業情報など
は当時のものです。ご注意ください。

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