〈テーマ・インターネット〉

とりあえず今のところの印象



 どうも考えがまとまらない。しばらく書いたところで放り出し、また頭から書き直す。そんなことを昨日から繰り返している。

 インターネットについて、思っていることはたくさんある。
 そもそもあんなものは道具でしかない。インターネットができるから偉いというわけじゃないし、できないから恥ずかしいというものでもない。「使えれば何かと便利」という程度のものだ……。
 IT革命なんて言葉があったが、なに寝ぼけたことをという印象。けっきょくやりたかったことは、光ファイバーやら集積回路といった産業の振興じゃないか。経済的に行き詰まっているときに、新しい設備投資先が見つかったというだけで、そんなもん革命でもなんでもないぞ……。
 教育機関でパソコンやインターネットの導入が盛んなようだけど、そんなのホントに必要なのか。学校で教えなければいけないもっと基本的なこと、もっと大事なことがたくさんあるんじゃないか……。
 とまあ、おおまかにいって、否定的な印象をたくさん持っている。

 しかしながら実際には、インターネットにはずいぶん世話になっている。
 メールチェックは毎日数回している。ホームページも日々いくつか見て回っている。自分のホームページも持っているし、1、2か月に1度くらいはその更新作業をしている。私製のメールマガジンなんかも、2か月に1回くらいつくって送る。
 ブロードバンドの常時接続を楽しんでいる、という人ほどではないけれど、たぶん平均以上の利用者だろうと思うのだ。
 実際問題として、仕事で必要なデータの多くはメールで送られてくる。それを加工してメールで送って納品するのは、もはや日常的なこと。フロッピーに保存して電車に乗って届けにいくとは、よほどのことがなければ考えられない。
 自分のホームページにしてみても、それを公開することに意味があると考えたからつくったわけだ。ホームページという媒体(メディア)には、かなりの可能性があると感じている。どんな可能性かは、まだよくわからない。でも更新作業をしたりしながら、少しずつ研究したいと思っている。
 このように、現実にはインターネットを日々利用していて、そこに将来性を感じている自分もいる。

 ということで、マイナス面とプラス面の両方を覚えているから、考えがまとまらないのだろう。

 そもそもインターネットの世界って、雑然としているものなのだ。貴重なデータが載ってるホームページがある一方で、いかにも内容の怪しいホームページが無数にある。正論も異論も邪論も整理されているわけでなく、ごちゃごちゃに扱われているのが実態だ。
 そんな混沌とした世界のことを書こうとしているのだから、ぼくの頭の中が整理できないのも、やむを得ないのかもしれない。

 とはいえ、確信を持っていることがないわけじゃない。
「インターネットを使えば、多くの情報が手に入る」と言われる。そしてそれが大きな利点だとも言われる。
 それはたしかにその通りだが、手に入る情報の大半は、いつ誰が書き記したのかハッキリしない、真偽不確かなものばかりだ。そんな情報があふれかえるなかから、本当に必要なもの、信頼できるものを見つける能力を身につけていないと、いつか痛い目を見るだろう。
 これは心しておいたほうがいいことだ。

 間違いだらけの育児情報誌を買ってしまったことがある。改訂したばかりの最新版のはずなのに、もう営業していないレストランの紹介記事が載っていたり、ある公園のとっくになくなっている施設が目玉だったりと、それはまあひどいものだった。
 なんで誤りに気づいたかというと、何か月か前にそのレストランをインターネットで探したことがあるからだ。
 店の名前で検索したら、所在地や電話番号、メニューなどを紹介しているホームページがいくつも出てきた。けれども肝心な、その店のオリジナルのホームページがない。店を出店しているオーナー企業のホームページを覗いても、その店のページは存在しない。つまりは閉店していたのだ。けれども、その店を紹介するホームページはマメに更新しているわけじゃないから、古い情報が残ったままになっていたのだ。(念のために電話してみたけど、電話番号は使われていなかった)
 それで、以下は推測なのだけど、育児情報誌の担当者は最新版をつくるにあたって、情報を調べようとインターネットで検索したのではないか。検索して、いくつものホームページで紹介されてて、内容はどれもほとんど同じだからと、それで確認したつもりになったのではないだろうか。
 仮にそうでなかったにしても、確認の電話1本しなかったのだから、何とも粗末なお話だ。

 そういえば、メールのやりとりに慣れてしまうと、電話をかけるのが億劫になる。これもネットをやってることの欠点の一つだ。
 ネットサーフィンにしてもメールにしても、「手軽で便利」が「手抜きに便利」にならないように、気をつけないといけないだろう。
 付き合い方がなかなか難しい道具です、インターネットは。

(2002年2月・78号)

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