誰に、どのように配布(頒布)するのか
部数の設定は慎重に
配布の手段は
代金回収の手段は
誰に、どのように配布(頒布)するのか
ミニコミをつくる場合は、つくったものを誰に、どのような手段で配るのかが最大のポイントです。

 B5判8ページほどのミニコミをつくっていた知り合いが、バックナンバーを統合して冊子にまとめることを考えました。全体で100ページを越える大冊です。
 話を聞いてアドバイスしたのは、印刷方法などもありますが、つくったものをどうしたいのかをよく考えて、ということです。売るのか、無料で配るのか。売るにしても、書店などでの販売を考えるのか、知り合いに手渡しで売るのか、ネット販売などの方法をとるのか。そういった方針がなければ、全額自分の負担でつくり、在庫の山を目の前にして自己満足にひたるだけ、ということになってしまいます。
 せっかくつくるのに、在庫として積み上げるのではもったいない話です。誰に対してどのようなアプローチをするのか、対象は何人くらいに設定するのか、代価を受け取るのか否か(発行者が費用負担をするのかどうか)。この点をよく検討することが必要です。
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部数の設定は慎重に
仲間内で楽しむだけなら、必要部数だけつくればよいのですが、より多くの人に広めたいと考えるなら、広めるための手段と、あとあとで必要となる在庫の部数をよく検討する必要があります。とくに印刷・製本をする場合には、コピーのように簡単には増やせないので、部数をよく考えないといけません。
 私が関わる投稿誌では、創刊当初の読者は30人くらいでした。これなら50部もつくれば充分と考えていましたが、1年、2年とたつうちに、新たに読者になった人から「バックナンバーを見せてくれ」といわれ、送っているうちに在庫がなくなりました。その後、読者数の増減にともない、部数を増やしたり減らしたりして、現在は固定読者40人に対して100部つくっています。
 60部の在庫は多そうですが、その号に書いた作者が何部かほしいと言ってきたり、読者になってもらえそうな人に送ったり、寄贈、他人への紹介などで、けっこうなくなるものです。印刷代はほとんどかわらないので、もう20部くらい増やしてもいいかなと、検討しているところです。
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配布の手段は
つくったミニコミを有償で販売する場合、読者の手元に届ける手段と、代金を回収する手段を考えなければなりません。
 読者に届ける方法としては、1.直接手渡し、2.郵送、3.書店などでの販売、などがあります。

 直接手渡しできるなら、その場で相手の反応を見ることもできるのでベストです。
 部数が多かったり、遠方の読者がいるならば、郵送するしかないでしょう。この場合は、郵送料を踏まえて価格(予算)を設定しておかなければなりません。仮に1部あたりの制作費が300円だとしても、郵送料が190円かかるのであれば、500円の予算を見込んでおかないと代金の回収はできません。でなければ、本代と別に送料を負担してもらうことです。
 郵送の場合は、「冊子小包」にすれば、普通郵便よりも安く送れます。従来の「書籍小包」の条件を緩めたもので、数ページのものでもホチキスなどで止めてあれば大丈夫とのことです。ただし、重量によって(軽い場合)は普通郵便のほうが安い場合もあります。郵便局にパンフレットがありますから、詳細はそれをご覧ください。

 書店などでの販売は、はっきりいって手間がかかります。
 一般の書店で扱ってもらう場合は、本を持ち込んで担当者と交渉しなければなりません。当然、発行の趣旨、発行部数、対象読者、発行者のプロフィールなどを説明できる人間が赴く必要があります。また、交渉が無事成立して扱ってもらうことになっても、代金の何割か(最低でも20〜25%)は書店へのマージンとなります。返品物の引き取りなどの手間も発生します。これらの手間や費用などを考えれば、あまり効率のよい販売方法とは言えないと思います。
 ミニコミを扱う書店も中にはあります。私が知っているのは、東京・東新宿の「模索舎」、東京・神田神保町の「書肆アクセス」、同神保町の「地方図書センター」です。ほかにも、ミニコミコーナーを常設している大手書店はけっこうあります。こうした店やコーナーには、ミニコミに興味を持っている人が集まるので、一般の書店に置くよりは効率がよいでしょう。ただし、マージンを支払ったり売れ残りを引き取るのは変わりありません。
 あと、店ではありませんが、「本コミュニケート」というところでは、ミニコミの通信販売をおこなっています。

 このほかにも、ダイレクトメールを送って注文をとったり、インターネットの掲示板に新刊情報として載せたり、メールマガジンで知らせるなどの手段もあるでしょう。

 書店離れ、本離れが進んでいる現在では、大手の出版社でも書店で本を販売するのは難しい状況にあります。ミニコミ誌では、そうした既存の流通手段よりも、ネットの利用など、新しい流通手段を考えるべきではないでしょうか。これからのミニコミ発行者には、それができるだけの柔軟性とフットワークが求められるとも考えます。
 この点は、私もノウハウに欠ける部分ですので、「こういう売り方があるよ」「こんなふうにしたらうまくいった」というアイデアがあればお教えください。
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代金回収の手段は
代金回収の手段としては、1.直接会って回収、2.郵便振替(銀行振込)、3.少額為替や切手などで送ってもらう、などがあります。
 
 本を直接手渡しし、その場で代金を受け取ることが可能ならば、トラブルの発生は少ないです。イベントなどに本を持ち込んで販売するケースもありますが、その場合は代金回収も現場でできるので、問題はないでしょう。

 一般的に採用されているのは、郵便振替(銀行振込)という手段です。リスクが大きいようにも感じますが、案外きちんきちんと振り込んでくれるものです。ただ、未納・滞納は必ず発生しますから、それを見込んでおかなければなりません。
 私が関わる投稿誌では、契約更新時に、引き続き購読する意思の有無を尋ねるはがきを返送してもらうことにしているのですが、このはがきが返ってこないケースがあります。うっかり忘れていただけの場合もあるし、やめようかと迷ったままずるずると投函しそびれている場合もあります。最終的には「返事をよこすか、振込をするまで、本の発送を止めるよ」と別にはがきで通告するのですが、長年の読者だったりすると、そこまでするのは気が引けるものです。
 「契約更新するよ」と返事をよこしたまま、購読料を何年ぶんも滞納し続け、挙げ句に黙って引っ越してしまった読者もいました。後になって滞納ぶんをすべて払い込んできましたが、かなり後味の悪い話です。
 こういうケースは、全体の1割にも満たないものですから、深刻に考える必要はありません。でも金銭面でのケジメをはっきりさせる姿勢は日頃から示しておくべきでしょう。

 三つ目の少額為替というのは、千円とか数百円とかの少額の為替で、郵便などで送ることができます。郵便局で購入したり、現金に換えることができます。切手と違って換金できるという点が便利です。郵便局に出向かないと入手や換金ができないのが難点です。
 少額為替の詳細については、郵便局にてお尋ねください。
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