家庭用ワープロ・パソコンと印刷機器との関係
フロッピーデータを活用しよう
効率的な本づくりの手段・DTP
家庭用ワープロ・パソコンと印刷機器との関係
ワープロとパソコンは、実はコンピュータの一種という意味で同じようなものです。文章入力の機能に限定して使いやすくしたのがワープロであり、その他のいろいろなソフト−−文章を書いたり、絵を描いたり、写真を取り込んだり、インターネットにつないだり、表計算をしたりetc.−−も気軽に使えるようにしたのがパソコンです。オフコンなどと呼ばれる業務用のコンピュータは、パソコンよりもっと複雑で高度な処理をするためのものです。
 つまり、大ざっぱにいえば、ワープロ→パソコン→業務用コンピュータと、だんだんと処理する内容が高度になりますが、どれもコンピュータであることには変わりないのです。

 この「変わりない」というのが便利なところで、ご家庭で入力した文章も、ちょっと知識があれば、編集や印刷の工程で使うデータとして利用することができるのです。もう少しご説明しましょう。
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フロッピーデータを活用しよう
●ワープロをご使用の場合
 ワープロやパソコンで文章を打った場合、たいていはフロッピーディスクに保存していると思います。
 フロッピーディスクというのは、どのワープロ、どのパソコンに持っていっても差し込むことができます。そしてフォーマット(初期化)をしてしまえば、フォーマットした機種で使えるようになります。仮に「東芝RUPO用」と書かれているフロッピーでも、富士通OASYSでフォーマットすればOASYS用になるし、松下電器パナワードでフォーマットすればパナワード用になります。
 それで、フォーマットの種類の一つに、「MS−DOSフォーマット」という形式があります。本来はパソコンで使用するフォーマット形式ですが、ほとんどのワープロでこの形式が扱えるようになっています。フロッピーのフォーマットをするときのメニューか、補助メニューにこの機能はあるはずです。
 これで「MS−DOSフォーマット」したフロッピーに、「MS−DOS変換」(「DOS変換」「テキスト形式で保存」などの用語も使われます)をして文章を保存すれば、他のワープロやパソコンでもその文章を開いたり、直したりできるようになるのです。
 「MS−DOSフォーマット」も「MS−DOS変換」も、日常的に使う機能ではありませんので、わかりにくいかもしれません。でも、これができれば、後の作業で入力しなおす手間が省けますし、誤入力や入力漏れの心配も減ります。マニュアルを読んで覚えることをおすすめします。

●ウィンドウズ系のパソコンをご使用の場合
 「MS−DOSフォーマット」は気にする必要はありません。ふだん使っているフロッピーがすでにその形式になっています。文章を保存するときに、「テキスト形式」で保存するだけで大丈夫です。「一太郎」でも「Word」でもその他のワープロソフトでも、保存をするときに「保存形式」を選ぶところがあり、その選択肢の中に「テキスト形式」が入っています。これで保存しておけば、他のパソコンの他のソフトでも使えます。

 ただし、「テキスト形式」で保存した場合、文字を大きさや書体、印刷書式など各種の設定は消えてしまうので、注意が必要です。
 やり方としては、入力中の文書はそのソフトの形式(「一太郎」なら「通常」、「Word」なら「Word文書」という形式)で保存しておいて、プリントアウトもした、内容も確認した、さあ業者に依頼しようという段階で、別のフロッピーに「テキスト形式」で保存するという方法がベストです。元の形式の文章は、必ず残しておいてください。

●マッキントッシュをご使用の場合
 「ディスクの初期化」で「DOS1.4」または「DOS720」を選んでフォーマットします。フロッピーの表面のどこかに「2DD」または「2HD」と書かれているはずです。「2DD」の場合は「DOS720」、「2HD」の場合は「DOS1.4」でフォーマットします。文書の保存の仕方は、ウィンドウズ系パソコンの場合と同じです。
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効率的な本づくりの手段・DTP
こうしてデータ入りのフロッピーを用意されれば、印刷用原稿(版下)をつくる段階では、基本的にそのデータを再加工して使います。つまり、ワープロなりパソコンソフトで文字を大きくしたり、書体を変えたりするのと似たような仕組みで、体裁を整えていくのです。この作業を、最近ではDTP(デスク・トップ・パブリッシング=「机の上での編集・印刷」の略)と呼んでいます。ここ10年くらいで急速に普及した、パソコンを使っての編集・印刷の方法です。

 従来の活字や写植の時代には、専門の職人さんが原稿用紙を見ながら活字を拾ったり、写植を打って、仕上がったものを仮に印刷して、編集者が誤字脱字はないかとチェックしていました。つまり、入力する人と編集する人がそれぞれ専門化していたのです。
 DTPでは、編集者が自らコンピュータで入力したり、体裁を整えたり、修正をします(編集者自らが作業しないで、専門のDTP業者に依頼するケースもあります)。これは関わる人数が少なく、時には一人の編集者がすべての作業を行うので、指示の食い違いはなくなりますし、一般的に作業は速く、費用も従来より抑えられます。
 効率的に、低価格で本づくりをしたいとお考えならば、私ならDTPを主に行う業者に編集や印刷を依頼することをおすすめします。

 このごろは、「Word」などのソフトを使った簡易DTPの解説本も出版されています。初心者向けのものもあるので、参考にしながらご自身でつくってみるのもよいかもしれません。
 悪戦苦闘することでしょうが、それのも本づくりの楽しみの一つ、と言うと無理があるでしょうか?
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